繊維リサイクル・製品製造

繊維リサイクルの歴史【001】繊維リサイクルの歴史

「リサイクル」というと非常に新しい、流行り物のようなイメージをお持ちの方も多いのではないかと思います。ひょっとしたらそうした過熱するブームに食傷気味の方も居られるかもしれません。しかし資源を再利用するという行為そのものは、実はわが国においては決して珍しいことではありませんでした。ご存知の方も多いと思いますが、江戸時代においては資源を再利用するということが生活文化として定着していました。生ごみはもとより、都市の糞尿にいたるまで肥料として再利用されていたのです。しかし近代化以前、それらはまだ産業と呼べる成長段階にはありませんでした。

今でいうリサイクルを行なう再生資源業が成立したのは明治に入ってからで、近代国家の幕開けと共に始まりました。近代化は従前とは比較にならない資源投入をともないます、そこで廃品を回収し工場に原料として供給するという業者が現れたというわけです。これら再生資源業はまずぼろ(古着・古布)や屑繊維を扱う故繊維業者から始まりました。その意味で、日本のリサイクルは近代社会の幕開けと同時に故繊維、つまり布・繊維から始まったといえるのです。したがって故繊維業界の歴史を紐解くことは、日本のリサイクルの歴史をたどるということにもなります。これから連載する「繊維リサクルの歴史」では意外と知られていない日本の繊維リサイクルの歴史についてご紹介していきたいと思います。

注:『故繊維』とは一般家庭から不用品として回収される古着・古布の古繊維(ぼろ)と糸屑、綿くず、裁断くずのように繊維産業から発生する繊維くずの両方をあわせて『故繊維』と称します。

故繊維イメージ